JUNKO IWAMOTO BOOKS
「おいしいワインが出来た! 名門ケラー醸造所飛び込み奮闘記」(2001)
講談社刊
660円(税込)
ISBN 4-06-273147-9
絶版。ネット上の書店で中古品をお求めいただけます。事務所に在庫(新品)が少しございますので、ご希望の方はメールにてお問い合わせ下さいませ。
書評から(Book Review)
朝日新聞/2001年7月15日
おいしいワインは、運命的な味がする。そして必然的な出会いをもたらすようだ。ある夏の昼下がりに飲んだドイツワインの伝統種・リースリングで造られた白ワインに魅せられた筆者(在ハンブルク)は、その「軽やかで、無垢で、透明感があって、感動的ですらあった」ワインを造ったケラー醸造所に、飛び込み同然で実習生となり、ラインヘッセン地方の見晴しの良いぶどう畑で、一年間の「至福」の体験をする。ワイン造りの名門ケラー家の四季折々の生活を通して描かれるのは、ワイン造りの面白さ(ぶどうという果実の不思議さ)と奥深さ、ドイツ農村生活の豊かさ、そしてそのワイン造りに人生の情熱を愛の全てをかけてきたケラー家、その八代目のクラウスとヘディ夫婦の物語だ。筆者が読みとったあの運命的な味わいは、彼らの歴史そのものだった。「クオリティの陰にはクヴェーレン(労苦)がある」と彼らは言う。その「労苦」こそが真の「至福」へと繋がるのだろう。(新城和博)
ドイツニュースダイジェスト/2001年7月28日
イメージとは恐ろしいもので、「ドイツワインは甘いだけ」と思い込んでいる日本人は多い。理由のひとつは日本向け輸出品に甘口低級品が多いことである。日本のガイドブックがドイツの代表的ワインとして「リープフラウエンミルヒ」を紹介していたのに驚いたことがあるが、南米や他の欧州諸国でも人気のあるこのワインは、しばしば紙パック1リットル入りで売られる安酒の代名詞。流通量が多くて無視できない事情は分かるものの、「代表」にはちょっとばかり役不足である。さて、ワイン初心者から上級者まで、ドイツワインの本当の魅力を知りたい人にお薦めの本が出た。著者は本紙で連載を持つ岩本順子氏。副題に「名門ケラー醸造所飛び込み奮闘記」とあるように、文字通り体当たりの取材による面白い話が山盛りだ。産地や種類を紹介した本はたくさんあれど、醸造所の体験記となるとそうないはず。漫画「ドラゴンボール」の翻訳者としても知られ、ワインジャーナリストとしても活躍中の著者が飛び込んだのは、ドイツでも指折りの名醸造所、ラインヘッセンのケラー家である。「飛び込んだ」経緯が面白い。ケラー家のリースリングに感動して、「ゴーミヨ/ドイツワインガイド」主催の表彰式で会ったケラー家の8代目に「働かせて欲しい」と「口走って」しまい、月に10日間、実習生として働くことになったのだという。トップクラスの醸造所のワイン作りがどういうものか。ブドウの木の剪定から果実の間引き、収穫、タンクの清掃等々あらゆる仕事に携わった経験が丁寧に記され、ワインの魅力が語られていく。料理や食材に関する記述も豊富で読むだけでも楽しいが、知識を増やした後に感覚器官総動員でワインを味わうとより楽しい。(彬元)
月刊神戸っ子/2001年7月号
はじまりは一本のワインだった。「一点の曇りもない、晴れた真夏日のような、輝くワイン。どうしたらこんなものが造れるの?」。それが知りたくて、ドイツの名門ケラー醸造所に飛び込んでしまった、と言う。今年5月、実習生として働いた1年間を「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)として出版した。住まいのあるハンブルグから列車で6時間、醸造所での月10日間の労働。「ワインは畑でできあがる」というケラー家の人々のぶどう栽培にかける情熱と、ドイツワインの奥深さ、肉体労働の心地よさ…、日々の発見と感動を書き溜めた日記は500頁を超えた。「本にしたい!味や香りを語る人はたくさんいても、どんなふうに造られるのかに興味をもつ人は少ない。それに、ドイツワイン=甘い=初心者向き、という誤った考えが根強い日本人に、本当のドイツワインの魅力を知ってほしかった」。今でも「私は専門家ではない」という岩本さん。「ただ、夏、誰もいない畑で一本一本のぶどうの木と向き合い汗を流したことが、小さな自信となって積み重なり、ワインを語る言葉を見つけた」帰国の度に訪れる北野のローテ・ローゼでワインを飲むときも、浮かんで来るのは畑の風景とそこで働く人々だ。現在、ドイツのケラーマイスターや女性醸造家、そしてドイツ人の生活について取材を続けている。「ワインは大好き。だけど、ワインを造った人間に、より惹かれる」(宇都宮さえこ)
ルフトハンザメールニュース/2001年9月4日
ドイツワインの話をするとよく返ってくる答えが「でも甘いんしょう?」というもの。実際、日本の酒屋さんやデパ地下で見かけるドイツワインは、白で安価で甘口なものが多いので、そうした印象が強いのも仕方ないかもしれません。もし、あなたもそんな一人だったら、講談社文庫から発売された本「おいしいワインが出来た!」がお勧めです。ドイツ在住の著者岩本順子さんは、ワイン好きが高じて醸造所で一年以上もワイン造りを修業してしまった人。冬場のワイン畑の世話から始まり、剪定、ぶどう摘み、醸造まで、自らが体験した話をこのたび一冊の本にまとめました。ドイツワインの格付けなど、ワイン基礎知識も説明されていて、ドイツワイン入門としても楽しめます。ワインの微妙な味わいについての細やかな描写を読んでいると、なぜか喉が乾いてきてワインをすぐにでも飲みたくなるから不思議です。
シティマガジン・ハンブルク/2002年9月
出逢いは一杯のワインから始まった。その輝くワインに魅せられて飛び込んだ名門ケラー醸造所。極寒のワイン畑での作業、枝の剪定やムクドリの大群との熾烈な戦い、著者の1年間の飛び込み修業が始まった。ラインヘッセンのワイン畑があちらこちらに別れている理由、ギリギリまで間引きして出来上がる極上ブドウ。静かにワイン誕生の音を聞き、夢にまで見た試飲の日などなど、著者のワインに対する情熱がヒシヒシと伝わり、クラウス、ヘデイ、エルヴィン達ケラー家の人々と一緒にワイン作りをしている錯角に陥ってしまう程、臨場感溢れる271ページの文庫本は一気に読んでしまう。読み終わった後の貴方はもうドイツワインのスペシャリスト!
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講談社刊
660円(税込)
ISBN 4-06-273147-9
絶版。ネット上の書店で中古品をお求めいただけます。事務所に在庫(新品)が少しございますので、ご希望の方はメールにてお問い合わせ下さいませ。
書評から(Book Review)
朝日新聞/2001年7月15日
おいしいワインは、運命的な味がする。そして必然的な出会いをもたらすようだ。ある夏の昼下がりに飲んだドイツワインの伝統種・リースリングで造られた白ワインに魅せられた筆者(在ハンブルク)は、その「軽やかで、無垢で、透明感があって、感動的ですらあった」ワインを造ったケラー醸造所に、飛び込み同然で実習生となり、ラインヘッセン地方の見晴しの良いぶどう畑で、一年間の「至福」の体験をする。ワイン造りの名門ケラー家の四季折々の生活を通して描かれるのは、ワイン造りの面白さ(ぶどうという果実の不思議さ)と奥深さ、ドイツ農村生活の豊かさ、そしてそのワイン造りに人生の情熱を愛の全てをかけてきたケラー家、その八代目のクラウスとヘディ夫婦の物語だ。筆者が読みとったあの運命的な味わいは、彼らの歴史そのものだった。「クオリティの陰にはクヴェーレン(労苦)がある」と彼らは言う。その「労苦」こそが真の「至福」へと繋がるのだろう。(新城和博)
ドイツニュースダイジェスト/2001年7月28日
イメージとは恐ろしいもので、「ドイツワインは甘いだけ」と思い込んでいる日本人は多い。理由のひとつは日本向け輸出品に甘口低級品が多いことである。日本のガイドブックがドイツの代表的ワインとして「リープフラウエンミルヒ」を紹介していたのに驚いたことがあるが、南米や他の欧州諸国でも人気のあるこのワインは、しばしば紙パック1リットル入りで売られる安酒の代名詞。流通量が多くて無視できない事情は分かるものの、「代表」にはちょっとばかり役不足である。さて、ワイン初心者から上級者まで、ドイツワインの本当の魅力を知りたい人にお薦めの本が出た。著者は本紙で連載を持つ岩本順子氏。副題に「名門ケラー醸造所飛び込み奮闘記」とあるように、文字通り体当たりの取材による面白い話が山盛りだ。産地や種類を紹介した本はたくさんあれど、醸造所の体験記となるとそうないはず。漫画「ドラゴンボール」の翻訳者としても知られ、ワインジャーナリストとしても活躍中の著者が飛び込んだのは、ドイツでも指折りの名醸造所、ラインヘッセンのケラー家である。「飛び込んだ」経緯が面白い。ケラー家のリースリングに感動して、「ゴーミヨ/ドイツワインガイド」主催の表彰式で会ったケラー家の8代目に「働かせて欲しい」と「口走って」しまい、月に10日間、実習生として働くことになったのだという。トップクラスの醸造所のワイン作りがどういうものか。ブドウの木の剪定から果実の間引き、収穫、タンクの清掃等々あらゆる仕事に携わった経験が丁寧に記され、ワインの魅力が語られていく。料理や食材に関する記述も豊富で読むだけでも楽しいが、知識を増やした後に感覚器官総動員でワインを味わうとより楽しい。(彬元)
月刊神戸っ子/2001年7月号
はじまりは一本のワインだった。「一点の曇りもない、晴れた真夏日のような、輝くワイン。どうしたらこんなものが造れるの?」。それが知りたくて、ドイツの名門ケラー醸造所に飛び込んでしまった、と言う。今年5月、実習生として働いた1年間を「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)として出版した。住まいのあるハンブルグから列車で6時間、醸造所での月10日間の労働。「ワインは畑でできあがる」というケラー家の人々のぶどう栽培にかける情熱と、ドイツワインの奥深さ、肉体労働の心地よさ…、日々の発見と感動を書き溜めた日記は500頁を超えた。「本にしたい!味や香りを語る人はたくさんいても、どんなふうに造られるのかに興味をもつ人は少ない。それに、ドイツワイン=甘い=初心者向き、という誤った考えが根強い日本人に、本当のドイツワインの魅力を知ってほしかった」。今でも「私は専門家ではない」という岩本さん。「ただ、夏、誰もいない畑で一本一本のぶどうの木と向き合い汗を流したことが、小さな自信となって積み重なり、ワインを語る言葉を見つけた」帰国の度に訪れる北野のローテ・ローゼでワインを飲むときも、浮かんで来るのは畑の風景とそこで働く人々だ。現在、ドイツのケラーマイスターや女性醸造家、そしてドイツ人の生活について取材を続けている。「ワインは大好き。だけど、ワインを造った人間に、より惹かれる」(宇都宮さえこ)
ルフトハンザメールニュース/2001年9月4日
ドイツワインの話をするとよく返ってくる答えが「でも甘いんしょう?」というもの。実際、日本の酒屋さんやデパ地下で見かけるドイツワインは、白で安価で甘口なものが多いので、そうした印象が強いのも仕方ないかもしれません。もし、あなたもそんな一人だったら、講談社文庫から発売された本「おいしいワインが出来た!」がお勧めです。ドイツ在住の著者岩本順子さんは、ワイン好きが高じて醸造所で一年以上もワイン造りを修業してしまった人。冬場のワイン畑の世話から始まり、剪定、ぶどう摘み、醸造まで、自らが体験した話をこのたび一冊の本にまとめました。ドイツワインの格付けなど、ワイン基礎知識も説明されていて、ドイツワイン入門としても楽しめます。ワインの微妙な味わいについての細やかな描写を読んでいると、なぜか喉が乾いてきてワインをすぐにでも飲みたくなるから不思議です。
シティマガジン・ハンブルク/2002年9月
出逢いは一杯のワインから始まった。その輝くワインに魅せられて飛び込んだ名門ケラー醸造所。極寒のワイン畑での作業、枝の剪定やムクドリの大群との熾烈な戦い、著者の1年間の飛び込み修業が始まった。ラインヘッセンのワイン畑があちらこちらに別れている理由、ギリギリまで間引きして出来上がる極上ブドウ。静かにワイン誕生の音を聞き、夢にまで見た試飲の日などなど、著者のワインに対する情熱がヒシヒシと伝わり、クラウス、ヘデイ、エルヴィン達ケラー家の人々と一緒にワイン作りをしている錯角に陥ってしまう程、臨場感溢れる271ページの文庫本は一気に読んでしまう。読み終わった後の貴方はもうドイツワインのスペシャリスト!
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