JUNKO IWAMOTO BOOKS
 
 
「ドイツワイン 偉大なる造り手たちの肖像」(2005)
新宿書房刊
2100円(税込)
ISBN 4-88008-328-3

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書評から(Book Review)

山本昭彦(Akihiko Yamamoto)氏/読売オンライン、ワイン&グルメ(Wine & Gourmet, Yomiuri Online)2005年1月11日

醸造長の素顔に迫る「ドイツワイン 偉大なる造り手たちの肖像」/ドイツ在住のライター、岩本順子さんがドイツのトップクラスの造り手を紹介する「ドイツワイン 偉大なる造り手たちの肖像」を刊行した。岩本さんはドイツ・ハンブルクとブラジル・サンパウロを行き来しながら、ドイツのワインや食を日本に紹介している。今回の著書はケラー醸造所のワイン造りを手伝った日々を描いた「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)に続く、造り手シリーズの第二弾。ゴー・ミヨなど現地のワイン評価本でトップ10の常連組であるミュラー・カトワール醸造所、カートホイザーホーフ醸造所、エゴン・ミュラー醸造所の3醸造所のケラーマイスター(醸造長)に焦点を絞って、情熱あふれるワイン醸造の現場や造り手たちの素朴な素顔、豊かな暮らしを、生き生きと描いている。著者は2000年から2001年にかけて集中的に取材を行い、単なるジャーナリストを越えた友人のような親しさで、造り手たちの家庭や仕事に入り込み、同じ空気を呼吸しながら、職人たちのワイン造りの秘密に迫っている。「全くの初心者がワイン醸造をゼロから学ぶようなスタンスで執筆した」という本書は、自然酵母や清澄剤の使用等ワイン醸造の基本を教えてくれるだけでなく、歴史と風土に育まれた造り手たちの哲学を伝えてくれる。

有坂芙美子(Fumiko Arisaka)氏/ヴィノテーク・ファウンダー、ワインジャーナリスト(Vinotheque Founder, Winejournalist) 

日本には世界のワインが集まっています。ところが、ブランドネームばかり一人歩きして、ワインを楽しむ、ほんとうに必要な情報がなかなか見つかりません。ここに、経験豊かな岩本順子が、ドイツワインの最高の醸造家をたずねて取材した、現地レポートの本が生まれました。最高の品質を実現する現場の献身的な努力が、おいしいワインの奥行きをさらに豊かなものにしてくれるでしょう。彼らの取り組みは、ドイツワインの範疇を超えて、今、世界最高のワイン醸造の哲学を伝える普遍的な物語でもあります。黄金の滴がさらに美味になるひとときの読書をお楽しみください。 

芳野真光(Masamitsu Yoshino)氏/月刊WANDS誌主宰(Monthly WANDS, Editor-in-chief) 

「おいしいワインが出来た!」で、ワイン造りにいそしむケラー家の人々の厳しくも心豊かな日常を生き生きと描き出し、優れたワインが産み出される背景を見事に解き明かしてくれた岩本順子さんが、ワインの造り手シリーズの第2弾を上梓した。著名な醸造所で長くその名声を支えてきた3人のケラーマイスターが辿ったワイン造りの軌跡は、そのまま1950年代以降のドイツワイン産業の歴史でもある。造り手一人ひとりの生い立ちやパーソナリティを浮き彫りにしつつ、ドイツ各地におけるぶどう栽培やワインづくりのありようの変遷、土地の文化や風土まで学べてしまう本書が誕生したことをワイン愛好家の一人として大いに喜びたい。おそらくは重かったであろう彼らの口を開けさせて、造り手の素顔に迫るオムニバス風の読み物ができあがるには、著者・岩本さんのワインに対する情熱と女性ならではの細やかな観察眼、初対面の人でもすぐに昔ながらの友達であるかのように錯覚させてしまうような、飾らぬ気が置けない人柄に負うところが大きかったことは想像に難くない。さらにこのシリーズが第3、第4へと続くことを期待しているのは私だけではないだろう。 

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