KOUJIN SUGAHARA MUSEUM 菅原洸人オンライン美術館
 
 
菅原洸人オンライン美術館

パリのカフェ2

このページにも、カフェを題材とした作品4点をご紹介します。引き続き、伯父の日記の抜粋も掲載しました。


伯父の日記「パリの独り言」から(1989年)

「・・・セーヌ河畔の角のカフェでサンドイッチとカフェオーレで一服。毎年こちらへ来たら寄る店だ。河畔をスケッチしながらサン・ミッシェルへ。いつものコースで帰宅。それにしても毎日新しい発見があり、毎日が小さなアドベンチャーみたいだ。これが人々を魅了する所以だ。この奥深く理解仕切れないパリにいかに自分を見失わないで生きるか、異邦人にとって謎が多く魅力の尽きない都市だ。明日は・・・」

「・・・久しぶりでモンパルナスのスーパー・イノへ行く。・・・イノの横の三角公園に行ったら、初めて見る彫像があった。名前を見るとカイム・スーチンとあった。なるほど彼の写真そっくりの頑丈な労働者風の顔つきと体躯にゴワゴワのズボン、労働靴、あの通りだ。彫刻の顔はひしゃげた悲惨な顔になっているが、あのモジリアニと安宿で食うや食わずで酒に溺れた日々、それが如実に彫刻になっている。しばし佇む。・・・彫刻の前方には、モンパルナス・タワーが聳え、五十年昔、佐伯らが描いた下町や駅も、すっかり近代建築に変わった。今更モジリアニ、ユトリロや佐伯祐三の時代を懐かしみ、探すのも時代錯誤かも知れないが、所々わずかに残る古き良き時代の建物を見ると画心が燃えるのは、そこに住んだ人間の愛憎と悲喜交々の生活の跡が感じられるからであろう・・・」

伯父の日記「パリの呟き」から(1992年)

「 ・・・角のカフェ・ベロネーズで一服する。日陰のテーブルでカフェオーレを飲みながら通る人々を眺め、時々小さいスケッチブックにクロッキーをする。うすら寒いので毛皮のコートの婦人や革ジャンのムッシュも通るし、Tシャツのヤングもいる・・・」(6月6日)

「 ・・・十年ぶりの新緑のパリは明るく美しかった。非常に開放的に見えた。そうして夕方十時頃まで日が長いのでたっぷり仕事ができるのだった。それに暖房はいらんし。でもいい事ばかりじゃない。樹木の葉が繁ると建造物がだいぶ隠れてしまう。緑も濃くなると厚ぼったく、重く、色彩も単調に見えるのだ。観光客には絶好だが。そこで晩秋の公園、並木道の樹木の黄葉を主とした色彩の溜め息が出るほどの美しさとバリエーションを思い出してしまう。そしてすっかり葉を落としてくろぐろと空間を鋭角に切る裸の樹木、その向こうにどっしりと聳える建物群、間を流れる鉛色のラ・セーヌにグレーの空。その中で分厚い服装で身を守って懸命に生きる人々。これぞパリの素顔だ。しかし私も画家のハシクレ。この両方を味わい咀嚼して美にまで昇華せねば・・・」


作品ページもくじ

パリのカフェ1
パリのカフェ2
パリのカフェ3
パリのバー etc.
パリのクレープ屋
パリの花屋(準備中)
パリの店いろいろ(準備中)
パリの公園(準備中)
サン・マルタン運河(準備中)
ノートルダム寺院(準備中)