KOUJIN SUGAHARA MUSEUM 菅原洸人オンライン美術館
午後のカフェ パリ(20号油絵/No.052/製作年不明)
一人 パリ・モンマルトル(20号油絵/No.019/製作年不明)
街角のカフェ パリ(20号油絵/No.027/製作年不明)
下町のカフェ パリ(3号油絵/N.N./製作年不明/個人蔵)
塔のあるカフェ パリ(3号油絵/036/1985年)
菅原洸人オンライン美術館
パリのカフェ3
もう一度、カフェを題材とした作品を、ここでは5点ご紹介します。
伯父のカフェの絵は、カフェの店先を描いたものがほとんどですが、中には「午後のカフェ」(1つ目)のように、カフェに集まる人々にフォーカスした作品もあります。「一人」(2つ目)のような、カフェに佇む人をズームアップして描いたものは珍しいと思います。このマフラーの女性は、伯父の他の絵にも登場します。
伯父の描く人物像の多くは、顔が長く、スタイルは全く違いますが、少しアメデオ・モディリアーニの描いた肖像画の幾つかを思い起こさせます。瞳を描いていないものが多く、それも、モディリアーニが時折描いた、瞳のないグレーの目を思わせます。背景に描かれたベレー帽にパイプをくわえた長髪の男性は、おそらく伯父自身でしょう。
1984年12月、パリにいた伯父を初めて訪ねました。毎日のように伯父と一緒に、パリを歩き、一緒に入ったピッツェリアやカフェで、小さなスケッチブックを出してクロッキー(速写)をする伯父を眺めていました。完成した油絵も素敵ですが、クロッキーも軽快で魅力的です。
伯父は街歩きに、marumanのB6のスケッチブックを愛用していました。表紙が黒と山吹色のツートンカラーの、あの有名なスケッチブックです。パリでmarumanのスケッチブックが終わってしまうと、フランス製のcansonのクロッキー帳や水彩画用のスケッチブックを使っていました。クロッキー画は、中くらいの太さの黒いマジックで描かれています。
スケッチブックには、表からクロッキーを始め、裏からは短歌を綴っていました。そのため、最後の数ページは、だいたい短歌で埋まっています。伯父のスケッチブックを見ると、絵と短歌から、伯父が見たものと感じたことを知ることができます。
帰国した際に、伯母から、私がパリに滞在した1984年12月のスケッチブックを譲り受けたのですが、書かれた短歌を読んで、すっかり忘れていた、伯父とのパリの思い出がよみがえってきました。このコーナーでも、そのうち、伯父のクロッキーと短歌をご紹介したいと思っています。
クロッキー画には、残された油絵のベースになったものが見つかります。伯父の残した油絵は、カンバスの裏にタイトルと場所、おそらく展覧会用につけたと思われる作品番号が書かれてあるだけで、ほとんどが製作年不明です。スケッチブックにクロッキー画が見つかれば、中には、カンバスのコンディションなども参考にして、だいたいの製作年を推定できる作品があるかもしれません。でも、クロッキーに描いてから、10年、20年後に油絵になる、といったこともきっとあるはずです。
ところで、伯父のカフェの絵には、カフェの名前が書かれているものもあり、そのうちの幾つかは「オデオン(Odeon)」という名前です。パリのオデオン座の近くにあるカフェを描いたものだと思ったのですが、インターネットで調べてみると、単に「オデオン」という名前のカフェは見つかりませんでした。オデオン座の「Le Café de L'Odéon」というレストラン、サンジェルマン大通りのカフェ・レストラン「Le Relais Odéon」など、店名に「オデオン」がついている店はありますが、いずれも伯父の絵とは異なります。
伯父が遺したカフェ・オデオンは5作あり、3つの異なるカフェを描いています。(「パリのカフェ2」のページで、カフェ・オデオンを描いた作品を2つご紹介していますが、異なるカフェに見えます。)30年パリに通った伯父ですから、もうなくなってしまったカフェや、名前が変わってしまったカフェを描いたものなのかもしれません。あるいは、後で名前を入れようとして、オデオンを思いついたのかもしれません。
オデオンはギリシャ語で劇場を意味し、日本にはオデオン座という映画館が幾つもあります。伯父の日記には、養子となり、北海道の網走に近い小清水にいた頃に、初めてトーキーの映画を観たのが「オデオン座という、名前だけはしゃれた古い小屋だった」とあります。時々、オデオン座の「のぼり」を担いで、ラッパと太鼓の楽隊の後について歩き、入場券をもらっていたそうです。カフェの看板に「オデオン」と書く時、伯父の頭には北海道のオデオン座の思い出がよぎっていたかもしれません。
作品ページもくじ
パリのカフェ1
パリのカフェ2
パリのカフェ3
パリのバー etc.
パリのクレープ屋
パリの八百屋と屋台の焼栗屋
パリの花屋
パリの雑貨屋と衣料品店
パリの靴屋
パリの酒屋 etc.
パリの骨董屋と蚤の市
パリの蚤の市
パリのメトロと広告のある壁
パリの街角1
パリの街角2
パリの下町
サン・マルタン運河1
サン・マルタン運河2
モンマルトル界隈1
モンマルトル界隈2
サクレ・クール寺院1
サクレ・クール寺院2
サクレ・クール寺院3
ノートルダム寺院1
ノートルダム寺院2
パリの公園1
パリの公園2
コンコルド広場界隈
ポン・ヌフ界隈
セーヌ川畔1
セーヌ川畔2
セーヌ川畔3
セーヌ川畔4
セーヌ川畔5
セーヌ川畔6
エッフェル搭が見える風景
メニルモンタン地区ほか(パリ風景画完了)
パリのカフェ3
もう一度、カフェを題材とした作品を、ここでは5点ご紹介します。
伯父のカフェの絵は、カフェの店先を描いたものがほとんどですが、中には「午後のカフェ」(1つ目)のように、カフェに集まる人々にフォーカスした作品もあります。「一人」(2つ目)のような、カフェに佇む人をズームアップして描いたものは珍しいと思います。このマフラーの女性は、伯父の他の絵にも登場します。
伯父の描く人物像の多くは、顔が長く、スタイルは全く違いますが、少しアメデオ・モディリアーニの描いた肖像画の幾つかを思い起こさせます。瞳を描いていないものが多く、それも、モディリアーニが時折描いた、瞳のないグレーの目を思わせます。背景に描かれたベレー帽にパイプをくわえた長髪の男性は、おそらく伯父自身でしょう。
1984年12月、パリにいた伯父を初めて訪ねました。毎日のように伯父と一緒に、パリを歩き、一緒に入ったピッツェリアやカフェで、小さなスケッチブックを出してクロッキー(速写)をする伯父を眺めていました。完成した油絵も素敵ですが、クロッキーも軽快で魅力的です。
伯父は街歩きに、marumanのB6のスケッチブックを愛用していました。表紙が黒と山吹色のツートンカラーの、あの有名なスケッチブックです。パリでmarumanのスケッチブックが終わってしまうと、フランス製のcansonのクロッキー帳や水彩画用のスケッチブックを使っていました。クロッキー画は、中くらいの太さの黒いマジックで描かれています。
スケッチブックには、表からクロッキーを始め、裏からは短歌を綴っていました。そのため、最後の数ページは、だいたい短歌で埋まっています。伯父のスケッチブックを見ると、絵と短歌から、伯父が見たものと感じたことを知ることができます。
帰国した際に、伯母から、私がパリに滞在した1984年12月のスケッチブックを譲り受けたのですが、書かれた短歌を読んで、すっかり忘れていた、伯父とのパリの思い出がよみがえってきました。このコーナーでも、そのうち、伯父のクロッキーと短歌をご紹介したいと思っています。
クロッキー画には、残された油絵のベースになったものが見つかります。伯父の残した油絵は、カンバスの裏にタイトルと場所、おそらく展覧会用につけたと思われる作品番号が書かれてあるだけで、ほとんどが製作年不明です。スケッチブックにクロッキー画が見つかれば、中には、カンバスのコンディションなども参考にして、だいたいの製作年を推定できる作品があるかもしれません。でも、クロッキーに描いてから、10年、20年後に油絵になる、といったこともきっとあるはずです。
ところで、伯父のカフェの絵には、カフェの名前が書かれているものもあり、そのうちの幾つかは「オデオン(Odeon)」という名前です。パリのオデオン座の近くにあるカフェを描いたものだと思ったのですが、インターネットで調べてみると、単に「オデオン」という名前のカフェは見つかりませんでした。オデオン座の「Le Café de L'Odéon」というレストラン、サンジェルマン大通りのカフェ・レストラン「Le Relais Odéon」など、店名に「オデオン」がついている店はありますが、いずれも伯父の絵とは異なります。
伯父が遺したカフェ・オデオンは5作あり、3つの異なるカフェを描いています。(「パリのカフェ2」のページで、カフェ・オデオンを描いた作品を2つご紹介していますが、異なるカフェに見えます。)30年パリに通った伯父ですから、もうなくなってしまったカフェや、名前が変わってしまったカフェを描いたものなのかもしれません。あるいは、後で名前を入れようとして、オデオンを思いついたのかもしれません。
オデオンはギリシャ語で劇場を意味し、日本にはオデオン座という映画館が幾つもあります。伯父の日記には、養子となり、北海道の網走に近い小清水にいた頃に、初めてトーキーの映画を観たのが「オデオン座という、名前だけはしゃれた古い小屋だった」とあります。時々、オデオン座の「のぼり」を担いで、ラッパと太鼓の楽隊の後について歩き、入場券をもらっていたそうです。カフェの看板に「オデオン」と書く時、伯父の頭には北海道のオデオン座の思い出がよぎっていたかもしれません。
作品ページもくじ
パリのカフェ1
パリのカフェ2
パリのカフェ3
パリのバー etc.
パリのクレープ屋
パリの八百屋と屋台の焼栗屋
パリの花屋
パリの雑貨屋と衣料品店
パリの靴屋
パリの酒屋 etc.
パリの骨董屋と蚤の市
パリの蚤の市
パリのメトロと広告のある壁
パリの街角1
パリの街角2
パリの下町
サン・マルタン運河1
サン・マルタン運河2
モンマルトル界隈1
モンマルトル界隈2
サクレ・クール寺院1
サクレ・クール寺院2
サクレ・クール寺院3
ノートルダム寺院1
ノートルダム寺院2
パリの公園1
パリの公園2
コンコルド広場界隈
ポン・ヌフ界隈
セーヌ川畔1
セーヌ川畔2
セーヌ川畔3
セーヌ川畔4
セーヌ川畔5
セーヌ川畔6
エッフェル搭が見える風景
メニルモンタン地区ほか(パリ風景画完了)