WINE・WANDERING ワイン彷徨通信
ヴァレ・ドス・ヴィニェドスのぶどう畑(写真提供/Lidio Carraro)
エンクルジリャーダ・ド・スルの畑(写真提供/Lidio Carraro)
左からパトリシアさん、醸造責任者のモニカさん、ジュリアーノさん(ExpoVini会場にて)
リディオ・カラロのワイン
(写真提供/Lidio Carraro)
(写真提供/Lidio Carraro)
018「ブラジルワイン紀行6 リディオ・カラロ醸造所(Boutique Winery Lidio Carraro)」
まだ、リディオ・カラロ醸造所の門をくぐったことはないが、カラロ・ファミリーの面々には何度か会った。初めてこの醸造所のことを知ったのは、2005年、サンパウロで行われたワイン見本市「ExpoVinis」でだった。
当時、女性の醸造家、モニカ・ロセッテ(Monica Rossete)さんを起用していることが話題になっており、彼女は「Vinho Magazine」の表紙にもなった。訪れたブースは、彼女がいるせいか華やぎがあり、モニカさんをはじめ、カラロ兄弟が、熱心に醸造所とワインの解説をしてくれた。味わったワインも美味しく、こんな小さな宝石のような、個性的なワイナリーがブラジルに誕生していることを嬉しく思った。
リディオ・カラロ醸造所は、ぶどう栽培家のリディオさんとイザベルさん夫妻、そして彼らの息子と娘たち、ジュリアーノさん、ジョヴァンニさん、そしてパトリシアさんの一家が経営する醸造所。ワイナリーの創業は1998年だが、カラロ一家はすでに5代にわたってぶどうの栽培を行っていた。グラン・ヴィンディマ(Grande Vindima)という名称で慎重にリリースした初ヴィンテージは2002年。現在、畑はトータルで37ヘクタールある。醸造所名に「ブティック・ワイナリー」と入っており、優れた、洗練された商品を少数展開していくという決意が、そこに見られる。
2008年8月、リディオ・カラロ醸造所が、ジャーナリストたちのために開催したワインのプレゼンテーションに参加することができた。会場は、ガリバルディのホテル、カサクルタ(Casacurta)。100年以上の伝統をもつホテルの前身は、イタリアからの移民たちが、到着してから住まいを見つけるまで、とりあえず滞在するための宿だったという。
用意されたのは、4種類のワインとそれぞれに合わせたランチメニュー。エントラダ(前菜)は大きなキノコに詰め物をして焼いたフンギ・リピエーニ。合わせるワインは2004年産メルロー・グラン・ヴィンディマ。プリメイロ・プラット(第1のプレート)は山羊のチーズのラヴィオリに塩ダラのソース。ワインは2005年のクオルム(Quorum)・グラン・ヴィンディマ(メルロー、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、タナのブレンド)。セグンド・プラット(第2のプレート)は牛のフィレ肉のワインソースがけとマンジョッカ芋のピュレ。ワインは2005年のタナ・グラン・ヴィンディマ。ソブリメサ(デザート)のチョコレートヌガーには、2006年のテンプラニーリョが合わせられた。
リディオ・カラロ醸造所は、実に綿密な計画の元にワインを造り始めた。セハ・ガウシャ地方のヴァレ・ドス・ヴィニェドス(Vale dos Vinhedos)と、その南、セハ・ド・ズーデスチ地方のエンクルジリャーダ・ド・スル(Encruzilhada do Sul)にある、それぞれの畑の特徴を分析し、各々のテロワールに相性の良い品種を選び抜き、栽培している。醸造にも独自の哲学があり、当初から全てステンレスタンクのみで醸造。木樽は一切使用していない。ブラジルの陽射しを浴びた純粋な果実の味わいを、ワインの中に大切に閉じ込めたいとの考えからだ。
2002年のスタート時点から、グラン・ヴィンディマ・シリーズは常に少量生産。例えば2005年産は、クオルム20550本。メルロー6920本、カベルネソーヴィニヨン3400本、タナ3380本だけだ。このほかにもネッビオーロやマルベックをブレンドしたワインもあるが、生産量はほんのわずかである。どのワインも、ピュアな味わいで、ブラジルの太陽の香りを感じる。開栓後も長く楽しめる、大きな力を秘めたワインだ。
リディオ・カラロ醸造所は、2006年にスルブラジル社(SulBrasil)を立ち上げ、より安価な、買い求めやすいワインも生産している。次回訪問時には、スルブラジルのワインも、ぜひテイスティングしたいと思っている。
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まだ、リディオ・カラロ醸造所の門をくぐったことはないが、カラロ・ファミリーの面々には何度か会った。初めてこの醸造所のことを知ったのは、2005年、サンパウロで行われたワイン見本市「ExpoVinis」でだった。
当時、女性の醸造家、モニカ・ロセッテ(Monica Rossete)さんを起用していることが話題になっており、彼女は「Vinho Magazine」の表紙にもなった。訪れたブースは、彼女がいるせいか華やぎがあり、モニカさんをはじめ、カラロ兄弟が、熱心に醸造所とワインの解説をしてくれた。味わったワインも美味しく、こんな小さな宝石のような、個性的なワイナリーがブラジルに誕生していることを嬉しく思った。
リディオ・カラロ醸造所は、ぶどう栽培家のリディオさんとイザベルさん夫妻、そして彼らの息子と娘たち、ジュリアーノさん、ジョヴァンニさん、そしてパトリシアさんの一家が経営する醸造所。ワイナリーの創業は1998年だが、カラロ一家はすでに5代にわたってぶどうの栽培を行っていた。グラン・ヴィンディマ(Grande Vindima)という名称で慎重にリリースした初ヴィンテージは2002年。現在、畑はトータルで37ヘクタールある。醸造所名に「ブティック・ワイナリー」と入っており、優れた、洗練された商品を少数展開していくという決意が、そこに見られる。
2008年8月、リディオ・カラロ醸造所が、ジャーナリストたちのために開催したワインのプレゼンテーションに参加することができた。会場は、ガリバルディのホテル、カサクルタ(Casacurta)。100年以上の伝統をもつホテルの前身は、イタリアからの移民たちが、到着してから住まいを見つけるまで、とりあえず滞在するための宿だったという。
用意されたのは、4種類のワインとそれぞれに合わせたランチメニュー。エントラダ(前菜)は大きなキノコに詰め物をして焼いたフンギ・リピエーニ。合わせるワインは2004年産メルロー・グラン・ヴィンディマ。プリメイロ・プラット(第1のプレート)は山羊のチーズのラヴィオリに塩ダラのソース。ワインは2005年のクオルム(Quorum)・グラン・ヴィンディマ(メルロー、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、タナのブレンド)。セグンド・プラット(第2のプレート)は牛のフィレ肉のワインソースがけとマンジョッカ芋のピュレ。ワインは2005年のタナ・グラン・ヴィンディマ。ソブリメサ(デザート)のチョコレートヌガーには、2006年のテンプラニーリョが合わせられた。
リディオ・カラロ醸造所は、実に綿密な計画の元にワインを造り始めた。セハ・ガウシャ地方のヴァレ・ドス・ヴィニェドス(Vale dos Vinhedos)と、その南、セハ・ド・ズーデスチ地方のエンクルジリャーダ・ド・スル(Encruzilhada do Sul)にある、それぞれの畑の特徴を分析し、各々のテロワールに相性の良い品種を選び抜き、栽培している。醸造にも独自の哲学があり、当初から全てステンレスタンクのみで醸造。木樽は一切使用していない。ブラジルの陽射しを浴びた純粋な果実の味わいを、ワインの中に大切に閉じ込めたいとの考えからだ。
2002年のスタート時点から、グラン・ヴィンディマ・シリーズは常に少量生産。例えば2005年産は、クオルム20550本。メルロー6920本、カベルネソーヴィニヨン3400本、タナ3380本だけだ。このほかにもネッビオーロやマルベックをブレンドしたワインもあるが、生産量はほんのわずかである。どのワインも、ピュアな味わいで、ブラジルの太陽の香りを感じる。開栓後も長く楽しめる、大きな力を秘めたワインだ。
リディオ・カラロ醸造所は、2006年にスルブラジル社(SulBrasil)を立ち上げ、より安価な、買い求めやすいワインも生産している。次回訪問時には、スルブラジルのワインも、ぜひテイスティングしたいと思っている。